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たくみ・707
酒造りに日本の心を重ねて
山 口 酒 造 場

取材なぜなぜ
時代は環境を配慮してより安全に、健康に沿うものを求めています。
有機米のお酒があればいいなと思っていました。山口酒造場さんが有機米を使用していると聞いたのは春頃です。場所が久留米市だし、ぜひ、伺いたいと思いました。
7月下旬に、とあるところで山口酒造場さんの社員さんと話す機会があり、取材を申し入れ実現しました。


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有機米でも足りない
幸せになる酒を求めて

山口酒造場
杜氏:比嘉繁さん

緑の水田が広がる筑後平野。この地方は日本の三大酒どころです。「庭のうぐいす」の商号でおなじみの山口酒造場は久留米市北野町。安全な材料を使い、日本酒本来の旨さを現代にマッチするよう試行と研鑽を重ねています。
酒造りに関わる人たちに話を伺いました。11代目蔵元:山口哲生さん、杜氏:比嘉繁さん、10代目女将:山口怜子さんです。
企業としての社会的責任山口酒造場ホームページより抜粋
1.数値目標
販売上の数値目標を第一とはせず、利益とはnipponのこころ造りを通しての結果と考えます。会社、地域社会、売り先、買い先、の全てが幸せになるために、和を大切にし・・・(略)
2.環境配慮
 ●一升瓶はリサイクルを基本とします。●資材は無駄使いをしません。●ゴミを出来る限り少なくします。
3.企業倫理
いつでもだれでもみていただける製造工程、製品造りを行います。情報は全てを開示しますす。(略)


ー山口酒造場の姿勢についてお話しください。
2004年から「nipponのこころ」をテーマにしています。製造に「ごまかしがない」ことを念頭に置いています。それは、酒やお客様に対する義理だと考えます。江戸時代から続いた製造業として、内面的であること、いつわりのない心でありたいと思っています。
ー戦後、節目節目で日本の心が見直されます。きっかけは何ですか。
日本酒のラベルにはグレーゾーンがあり、法律表示を満たせば何でもいいという人がいます。より安く、より簡単な製造を求める人たちです。中味が見えないから、消費者も実態がわかりません。
ー日本酒が日本酒ではないかもしれないと?。
米を麹で発酵させたのが日本酒ですが、三倍醸造酒といって、日本酒を三倍にする経済酒があります。また、合成酒は米を使わず、穀物アルコールが使われ、日本酒の味になるよう調味料が添加されます。
ー知りませんでした。消費者として勉強不足です。
業界としての基準がないことがあるかもしれません。欧州ワインには醸造法があり、品種、産地、製造法など厳格に決められています。
ー山口酒造場さんの製品はどれですか。
9割が、米だけで作った「純米酒」で、1割がアルコール添加酒です。ちなみに純米酒の旨み、香り成分は1200種もあります。ワインで800、焼酎は300ほどといいます。お酒を見直してほしいですね。

 


ー無農薬、無化学肥料米を使用されていると聞きました。
86年に、朝倉農業高校に無農薬のお米を作って頂くようお願いしたのが最初です。
ーなぜ無農薬米をと思われたのですか。
それ以前から農産物に関して農薬の危険性を感じていました。無農薬の野菜を食べたいし、自分の製造する酒も安全なものを提供したいという自然な思いです。
でも実は、味の面では試行錯誤でした。
有機肥料は質のいい米ができます。ところが日本酒としては、豊かな養分がじゃまになります。
ーどういうことでしょうか。
日本酒は食事をしながら飲むものですから、酒の味、主張が強すぎるのは適切ではないと考えます。有機肥料ではなく「無肥料」で育った米が、野性味があり生命力に富んで味のきれいな酒になるようです。
ー自然な育ち方がよいのでしょうか。
ええ、昔の農法がいいのでしょう。ただ、米の収穫は少ないです。
ー商品棚に山田錦がありますね。
山田錦は日本酒に最も適した米の品種です。ですが、収穫量は他の品種の半分ですから、頭の痛いところです。

入り口広間には日本酒のほか、純米甘酒、雑穀甘酒、梅酒、にんじんジュースなどが陳列されています。
山口酒造場
久留米市
北野町今山534番地1
電話:0942-78-2008
蔵元:山口哲生
杜氏:比嘉 繁
URL:
http://niwanouguisu.com

製品:
日本酒:庭のうぐいす各種
    だるまラベル
    山田錦、利助ほか
甘酒、梅酒、粕漬けほか


ー杜氏になるきっかけは何でしたか
焼酎王国の沖縄県出身で、日本酒について知りませんでした。九州の大学を出て福岡県内に就職し、7年ほど経った頃、杜氏募集を見て(日本酒のおいしさも知った頃だったし)興味が湧いて応募しました。杜氏として、ここが初めての職場です。
ー杜氏は熟練を要する仕事と聞きます。どういう風に仕事を覚えられましたか。
前任の杜氏は大分から来ていた方で、その方に付いて夢中でやってきました。仕事は5年目ですが、師匠の杜氏が高齢だからと辞められ、事実上一昨年から任されています。一人前になるまでに10年と言われている仕事です。蔵元はじめみなさんの力をいただきながら何とかやっているという状況です。
ー杜氏さん同士のつきあいはあるのですか。
あります。この地方でも杜氏さんの高齢化が進み、若い自分は(厳しく)かわいがられています。含蓄のある言葉も多くいただきました。
ー酒造りの思いを聞かせてください。
未熟ですが、今のところ悪い評判が届いていないのでほっとしています。・・・こんな仕上げや味にしたい、という思いや意欲があります。何がいい酒かと言わせていただくと、自分は、僭越な言い方ですが飲む人にとって「幸せな酒であって欲しい」と思います。
ー具体的に言いますと・・・
飲む人が楽しくなるお酒で、飲む人に負担にならない味です。
ー次の蔵開きが楽しみですね。
はい、ぜひ来て、味を見てください。
ー理想のお酒の完成は近いですか。
近年中に作り上げたいと思います。

イベント紹介
江戸酒蔵と古布パッチワーク発祥の家

第21回「筑後土蔵」

2007年10/1(月)〜10/21(日)10時〜17時
母屋見学は無料
パッチワーク展は500円
食事・蔵の膳・1500円
(限定100食、要予約)


ー「うぐいすとまり」という梅酒もこだわりの製法と聞きました。
先代女将が有機米の酒を造り始めた頃から、いい材料で、手間暇かけたものを作ろうと発案したものです。
ー具体的に聞かせてください。
材料はもちろん無農薬のものです。梅は大分県大山町の大粒で優良なものを手摘みして運び、すぐに洗います。焼酎は粕取り焼酎(原料に酒粕を使った自社のもの)ですが、当然生産量が限定されます(100石分、10000本)。仕込んで、粗い味をならすために2年間寝かせます。氷砂糖も特別なものを使用しています。梅のエキス分が32ですから、これはおそらく日本一ではないでしょうか。
ー蔵元の道楽ですか? それとも夢の実現ですか。
(笑い)そう言われればそうですね。極上の材料と技術でどれだけのものができるか。採算を度外視しています。


取材後の感想です


「日本酒が悪酔いすると言われるのは、純米酒ではないからです」とも聞きました。なるほど、そうなんですね、勉強になりました。
「うぐいすとまり」。贅を尽くしただけあって、とてもおいしい梅酒でした。ロックで口に含み、のどでゆっくり味わうと、梅の豊潤な風味がわっと広がり、鼻から頭の上まで一気に駆けめぐります。初夏の強くなった日差しの中、新緑の木陰で受ける風のようだと思いました。くどさがなく、すっきりと力強い印象です。食前酒にお薦め。(残念ですが、久留米市内の小売店には出ていないとのこと。北野町までどうぞ。)


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