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たくみ・801
地場素材のおいしいスイーツ

取材なぜなぜ
久留米ではよく知られた洋菓子屋さん、銀のすぷーん。2月始めにジャム製品を初めて見、色のきれいさに驚きました。その秘密に迫りたくて取材を申し込んだのです。
また、地場産の果物を使っている理由も知りたくなりました。(取材日・08年2月23日)


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お菓子は素材が一番
探し求めた久留米の
おいしい農
産物で
よりおいしく菓子づくり




筑後平野の恵みいっぱい

 

おいしいものを
    よりおいしく




ことしは創業30周年と伺いました。
おかげさまで30年を迎えることができました。食を手がけるものとして、安心安全により一層心がけていきたいと思っています。
地元産の果物などを使っていらっしゃいますね。
久留米・筑後平野はとても肥沃な土地です。筑後川が豊かに流れ、その中でいろいろな農産物が生産されています。全国でも有数な生産地ですが、おいしいものが数多くあります。これを使わない手はないです。

イチゴケーキの
仕上げをする職人さん

地産地消は社会の流れにも沿っています。
単に、地元産を使用するからいい、とは考えていません。おいしい素材をよりおいしく創り上げるのが私どもの役目です。それが本当においしいかどうかは、お客様が判断されます。お客様の目や味覚にかなってこその真価です。

地場産との付き合いを具体的にお話しください。
久留米市藤山町は、古くから梨の名産地です。この梨を木に成ったまま完熟したものを皮ごと食べたら、これ以上のものはないというほどおいしかったのです。おいしい素材をお菓子の材料に使いたいという思いは自然です。ところが、産地の方とお付きあいしていく中で、少し変形したり、傷ついた梨がでて、毎年多くを処分するという話を聞きました。
実は、傷ついた梨の方が早積みで出荷されるものよりおいしいのです。それを何とかできないかということで、食べ頃をそのまま加工するようにしました。梨は昨年6トンいただきました。
梨の栽培模様もご覧になりますか。
はい、従業員を連れて体験をしています。梨の花はとても美しいですが、これは受粉しなければなりません。実が成ったら摘果も必要です。その作業をすることで、梨の実りが待ち遠しくなりますし、商品に対する思いも強くなります。
いちごなどジャムの色がきれいですね。秘密でも?
ありがとうございます。別に秘密はありません。もちろん化学物質などの添加物は使用していませんが、砂糖と煮詰めていく過程で、色が一瞬変わる瞬間があるのです。そこで火を止めています。

店内は思わず手が伸びる
豊富なお菓子でいっぱい。
ジャムと会話をするというか、そんな感じですか。
そうですね。脇見したり考え事をしていると、その瞬間がわかりません。素材を知り、しっかり見極めること。そうすると素材と気持ちが一体になるのでしょうね。今が一番おいしいよ、という声が聞こえるような・・・。
ジャム以外の加工もありますか。
梨ですとコンポート(シロップ漬け)にして保存し、シーズン以外にも使用します。いちごは信愛女学院さんとの共同試作の中から、フリーズドライにしてクッキーに入れた商品が生まれました。
フリーズドライは高くつくでしょう。
いちごは水分がほとんどですので、残る成分はわずかです。当然単価が高くなります。ですから(この商品はこういう理由で)高い値段になりました、と正直にお客様に言ったのです。幸い理解していただきました。高いものには高い理由が、安いものはそれなりの理由があります。それを判断していただくといいですね。

板チョコストロベリー
2種の味 五穀ロッシェ
カラメルなしのプリン

銀のすぷーん
〒830-0037 福岡県久留米市諏訪野町2721
TEL:0942-35-0092 FAX:0942-35-8707
URL:http://www.g-spoon.com
支店:●しゅうくりぃむ屋さん・博多駅マイング博多店 ●しゅうくりぃむ屋さん・尾張一宮店
地域のイベント後押し
ほとめきお花実会(梨の花編):2008年4月6日、詳しくは同ホームページで。
最近のオリジナル品を教えてください。
先ほどのフリーズドライしたいちごをホワイトチョコレートに入れ込んだ板チョコ、五穀をチョコレートでコーティングした商品、地元産の高濃度牛乳を使ったプリンなどがあります。
五穀ロッシェは、噛むと口の中ではじけますね。
ええ、プチプチと楽しんでいただけます。あわ、きび、玄米、大麦、ごまが入っています。やわらかいものが多い現代ではあごが衰えています。そのような面も考え、雑穀になじんでいただければと思います。

プリンはとても濃厚でびっくりしました。
そうですね。これにはエピソードがあります。実は地元の若い方が生産した牛乳を持参されたのですが、「市販の牛乳と差がない、力がないね」と感想を言ったのです。そうしましたら、工夫、研究を重ねられて(例えば飼料を自然の草にするなどして)持ってこられたのです。その結果が、乳脂肪率5.8%という高濃度になりました。
農家を育てられていると感じます。
いいえ、良い素材に出会いたい一心です。お菓子は素材で決まります。腕の善し悪しはほんのわずか。ですから、良い産物が私どもを左右します。お互いに良いものを作ろうという思いで刺激できるといいですね。いろいろな角度で生産農家の応援団になりたいと思います。

地場産に特別な意味がありますか。
ここで生まれ育ちましたが、若い頃外国で生活し原点が違うことを知りました。現実の悪い面を指摘するのは簡単ですが、根っこを否定せずに原点を見つめると良いところが見えてきました。
いろいろな人のいい面に影響を受けて自分のよさにも気づきます。そのような相乗効果で地域が発展します。久留米、筑後は可能性に満ちた土地だと思っています。





アレルギーの方向けのお菓子づくりも?
アレルギーに悩む方が増えました。お友達や兄弟に誕生ケーキがあっても自分にはない、という寂しい思いをされています。それを何とかしたいとやってきました。ところが近年は牛乳がだめ、卵がだめ、小麦粉もだめ。では、どうやってお菓子を作ろうかというまでになってきました。対処療法的に作るのではなく、根本を考えなくてはいけないと思いはじめました。
どのようなことですか。
私どももそうですが、ケーキ屋に行けば年中いちごケーキがあります。いちごの旬はいつですか? そう、本当は春です。なのにクリスマスや正月にいちごケーキ。これはおかしいですよね。旬のものが栄養も優れておいしいのです。
普通、旬ではないものに商品価値がありますが。
何かがおかしい時代になっています。季節がない。均一な形。鮮やかな色、いつでもどこでも手に入れたい欲求。それに応えるために余分な労力エネルギーを使っています。場合によっては、問題になるような添加物も入っています。自然から遠ざかったものが体にいいとは思えません。
おかしい原因は? どうすればいいでしょう。
わたしたちケーキ屋がおかしたあやまちですが、JA始め農家の方、そして消費者のみなさん。それぞれが間違っていると気づくことからだと思います。そのことを理解して原点に戻ろうと意識することですね。そういう時にきていると思います。変えようとすることが可能な時期になってきたと感じます。

何年後のどういうイメージですか。
すぐには直せないでしょう。でも、みんなでしてきたあやまちはみんなで解決しなければなりません。時間はかかるでしょうが、30年後にアトピーがなくなればいいなと思っています。筑後平野という豊かな自然。この中で旬を大事にしたおいしい農産物ができる町になれば、久留米がそういう町になれば、人びとが健康でアトピーのない、すばらしいモデルになると思います。


取材後の感想

おおぞらネットメンバー4名で取材させていただきました。銀のすぷーんのケーキ、30年前の感激を呼び起こしたい面々です。久しぶりで訪れた人は商品に地場産の果物がふんだんに使われているのにびっくり。
また、商品への姿勢、筑後平野の産物に対する愛情を聞いて、近年の新作スイーツのすばらしさに納得しました。
おいしいお菓子は職人が創作するのではなく、素材本来のよさを素直に十分に引きだすこと。・・・そんな風に感じました。そんな職人さんこそ腕がいいのですね。素材が「今がおいしい時よ、今、火を止めて、今食べて」とささやいてくれる。・・・メルヘンの世界に誘われそうです。スイーツは人の心をなごませ、幸せを運んでくれますからそんな情景がぴったりですね。
そういえば、「ご馳走」は旬のおいしい食材を駆けずりまわって揃え、料理すること。原点を考えさせられました。

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